シンガポール公益事業庁向け
海水淡水化プラント前処理プロセスの実証プラント運用開始
~セラミック平膜で省エネ化を検証~
株式会社明電舎(以下、明電舎)のシンガポール現地法人Meiden Singapore Pte. Ltd.(以下MSL)は、シンガポール公益事業庁(以下PUB)のトゥアス海水淡水化プラントにおいて、セラミック平膜を用いた前処理プロセスの実証プラントを建設し、2026年6月から運用を開始しました。
この実証プラントは、実際のプラントに近い規模で約半年間の運転を行い、安定運用や省エネルギー効果を検証します。
運用の背景
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の公表では、産業革命前と比べて気温が2度上昇すると、将来的に8~30億人が慢性的な水不足に陥ると推測されています。こうした中、海水を淡水化するプラントは有効な解決策の一つですが、大量の電力を必要とするため、省エネルギー化が課題となっています。
明電舎は、水の安定供給を国家の課題として抱えるシンガポールをセラミック平膜事業の中核拠点として位置づけ、2010年にPUBと水処理技術の共同研究に関する覚書(MOU)を締結。以降、シンガポール国内の様々な水処理プラントにおいて実証研究を進めてきました。
2021年からは淡水化の前処理プロセスにおける省エネルギー化に向けた共同研究を開始し、パイロットプラントの試験で良好な結果を得たことから、2024年より実証プラントの建設に着手しました。本プロジェクトはシンガポール政府のリビングラボスキーム※1のもと、MSLとPUBが共同出資しています。
実証プラントの概要
トゥアス海水淡水化プラントでは、逆浸透膜(RO膜)を用いて淡水化を行っています。今回の実証ではその前処理にあたる、不純物を取り除く工程にセラミック平膜を適用します。
従来は加圧浮上設備※2、ディスクフィルタ※3、限外ろ過膜※4など複数の処理が必要でしたが、セラミック平膜に置き換えることで工程の簡略化が期待できます。既設の加圧浮上設備の水槽内にユニットを設置することで、新規の設備投資を抑えられる点も特長です。
また、今回の実証では、明電舎で新たに開発した樹脂製筐体を採用したセラミック平膜ユニット(処理能力:約28,000m3/日)の性能についても検証を行います。
実証プラント全景
セラミック平膜を設置した膜分離槽の様子
※1 水技術の検証や商業化を促進するための資金調達スキーム
※2 水と空気に圧力を加えて発生した泡によって、液体中の浮遊物質を取り除く装置
※3 溝のあるディスクを重ね、その隙間に液体を通すことで、ろ過を行う装置
※4 膜の孔径と溶質の分子の大きさによって、小さな物質を除去するろ過膜
セラミック平膜による処理プロセス
セラミック平膜について
セラミック平膜エレメント
セラミック平膜エレメント
厚さ6mmのセラミック平膜には肉眼では視認できないほど細かい穴が無数に開いており、原水がその穴を通り抜ける際に不純物がろ過されます。中空構造となっており、内側の集水管を通して、きれいなろ過水を集めることができます。
「優れた耐久性」「長寿命」「省エネ」といった特長を持ち、従来の有機膜と比較した際のランニングコスト(メンテナンス・膜交換費用)の節減を含む、高い経済性を実現します。
トゥアス海水淡水化プラント
2018年6月開所。PUBが所有・運営。
最大処理能力136,400m3/日を有し、20万世帯の水需要を賄うことが可能。
MLSについて
1975 年設立。
事業内容:変電製品の製造・販売、セラミック平膜ユニット組立・販売、エンジニアリング業務。
https://www.meidensha.com/msl/
明電舎は本実証を通じて海水淡水化プロセスの効率化を進めるとともに、シンガポールをはじめ世界各国の水資源確保や水の安定供給などの課題解決に貢献してまいります。
以 上
参考リリース
2024年6月20日
シンガポール公益事業庁 トゥアス海水淡水化プラントにセラミック平膜を用いた前処理プロセスの実証プラントを建設
https://www.meidensha.co.jp/news/news_03/news_03_01/1250013_10499.html
本件及び取材に関するお問い合わせ先
株式会社 明電舎
コーポレートコミュニケーション推進部 広報・IR課
電話 03-6420-8100
