系統用電池システム向けPCS(LP500 シリーズ)の新機種を販売開始
~電池大容量化への対応や一次調整機能を実装~
株式会社明電舎(以下、明電舎)は、再生可能エネルギーの普及・拡大を背景に、電力系統の安定
化に寄与するリチウムイオン電池用の交直変換装置(以下PCS)の新機種を開発、10 月より販売開
始しました。
再生可能エネルギーの普及に伴うリチウムイオン電池の大容量化に対応するため、PCS の定格容
量を3000kVA、直流電圧範囲を1500V 仕様としたほか、需給調整市場における一次調整力機能を
追加しました。これにより、海外製も含めた多様な蓄電池との組み合わせることができ、大型蓄電所
のニーズに応えることも可能となります。
また2026 年度には、既に別の機種で納入実績のある、同期発電機の特性である同期化力・慣性力
を疑似するVSG 機能(Virtual Synchronous Generator)を当機種にも実装する予定です。
リチウムイオン電池用交直変換装置
開発の背景
明電舎は、大型蓄電システム用PCS メーカとして1996 年から現在まで約200 サイトにおいて
様々なメーカの蓄電池と組み合わせた豊富な運用実績があり、設計からメンテナンスまでトータル
でのシステム提供の体制を整えています。系統蓄電システム向けパワーコンディショナ「LP500 シ
リーズ」については2023 年より販売をしております。
昨今、各蓄電池メーカが販売する電池は大容量化し、直流電圧は1500V 仕様が主流となってい
ます。従来機種の直流電圧範囲は1250V ですが、今回、1500V 系に対応する新機種をラインナッ
プに追加しました。
また、社会の脱炭素化に向けた再生可能エネルギーの普及には、電力系統安定化のために周波数
制御や需給バランスの維持が課題となります。一般送配電事業者が電力受給の調整を行うために創
設された需給調整市場の中でも、応動時間10 秒以内となる「一次調整力」の取引では、調整力と
しての蓄電システムにも高い技術要件が求められています。今回の新機種には一次調整力機能も実
装していきます。
このような開発により、明電舎は、需要家への蓄電システムの普及を通じた社会の脱炭素化に貢
献してまいります。
リチウムイオン電池用PCS の特長
① 外部指令に基づく充放電に対応
需給調整市場での調整力として使用する場合に、外部の制御システムからの充放電指令に基づい
て電池を充放電制御します。
② 一次調整力の要件となるPCS 出力端の変動に対して充放電をする自端制御にも対応。
③ PCS・制御部・受電部・連系変圧器(6.6kV)をワンパッケージで構成
PCS 定格容量は700kVA~3000kVA です。6.6kV 受変電部も一体となっており、蓄電所等の高
圧配電線系統への接続が容易です。
④ 需要家で活躍する機能の充実
・BCP 対策機能:停電時の自立運転機能
系統事故等による停電が発生しても、蓄電システムに蓄えた電気をBCP 負荷(保安用設備等)
へ供給し、需要家の事業継続性の向上に寄与します。
・スケジュール運転機能:蓄電池用EMS による負荷平準化,電池SOC(充電率)管理
蓄電池用EMS で充放電パターンを設定し、電池のSOC 管理を行いながら負荷平準運転等の常時
運用を自動で行います。
・太陽光発電の余剰電力充電機能
自家消費型太陽光発電を設置する需要家において、土日・祝日等に電力需要が減少し系統への逆
潮流が発生する際には余剰電力を蓄電池に充電し、平日のピークカットやBCP 時の電力として
使用できます。
今後実装予定の機能
現在、当機種へのVSG 機能実装に向けて開発中です(2026 年度実施予定)。VSG 機能は再生可能
エネルギーの主力電源化に寄与する技術です。離島やマイクログリッド、および将来の電力系統に
おいて再生可能エネルギー電源の比率が高まると火力発電等の同期発電機が減るため、電力系統の
安定性が低下し、供給支障に至る可能性があります。これに対して、蓄電PCS に疑似慣性力を持た
せて系統の慣性を補うことにより、安定性・柔軟性の高い電源系統の実現が可能となります。
以 上
本件及び取材に関するお問い合わせ先
株式会社 明電舎
コーポレートコミュニケーション推進部 広報・IR課
電話 03-6420-8100