SF6ガス不使用 123kVエコタンク形真空遮断器を開発・販売開始
~1点切り方式の採用により、高い価格競争力を実現~
株式会社明電舎(以下、明電舎)は、123kVエコタンク形真空遮断器を開発しました。本製品は、明電グループの海外現地法人であるMeiden America Switchgear, Inc.(以下、明電アメリカスイッチギヤ)にて、北米市場向けに10月から販売を開始しました。
背景
北米市場では、カルフォルニア州を中心にCO2の23,500倍の温室効果を持つSF6ガスの規制を強化しており、変電設備の新設・老朽化更新に合わせて、SF6ガスを使用する遮断器が段階的に廃止されています。明電舎はSF6ガスを全く使用しない72kVエコタンク形真空遮断器を2007年から北米市場へ投入しました。2020年に明電アメリカスイッチギヤを設立し、145kVエコタンク形真空遮断器の販売を開始。2024年度までに同社として、約1,300台の真空遮断器を出荷しています。
今後も真空遮断器の需要拡大を見込む中、さらなる製品競争力の強化を図るべく、このたび1点切り方式の123kVエコタンク形真空遮断器を開発しました。
123kVエコタンク形真空遮断器
真空遮断器の内部構造
特長
ガス遮断器と比べ、高電圧化していくことに高いハードルがある真空遮断器において、1点切り方式で123kVまでの高電圧化に成功しました。145kVエコタンク形真空遮断器は、遮断性能を満たすため、遮断器に心臓部品である真空インタラプタを1相あたり2本直列配置した2点切り方式を採用していました。本製品で実現した1点切り方式は、2点切り方式と比較してシンプルな構造のため、製造コスト抑制による製品競争力強化につながります。
【その他の特長】
・SF6ガス不使用のため、機器廃棄時のガス回収作業が不要。ライフサイクルコスト低減に寄与。
・絶縁媒体として使用される乾燥空気は周囲温度-50℃でも液化しないため、寒冷地においても液
化防止のヒーターが不要。
・電気的に長寿命(負荷電流開閉10,000回)。内部点検不要であるため、メンテナンスコストを
大幅に削減可能。
・外被部材にアルミニウムを使用しているため、通電損失が極めて小さい。また、メンテナン
ス時の補修塗装が不要。
今後の展望
近年、北米市場に限らず、世界各国で電力網整備に伴う変電設備の新設、更新需要が増加するとともに、SF6ガス規制の強化が見込まれます。明電舎は真空遮断器の高電圧化ニーズを捉えるべく、この度の123kVまでの高電圧化開発を契機に、今後2点切りでの245kV製品の開発に取り組んでまいります。
以 上
明電アメリカスイッチギヤについて
設立 :2020年
所在地 :サウスカロライナ州 グリーンビル市近郊
事業内容:高圧真空遮断器の設計・製造・試験・販売及び真空インタラプタの販売
参考サイト
ドキュメンタリー映像
「電気よ、守れ。~この星のブレーカーとして~」
https://www.meidensha.co.jp/knowledge/documentary/01/
参考リリース
2022年1月17日
明電グループの北米製造拠点 明電アメリカスイッチギヤ
SF6ガス不使用145kVタンク形真空遮断器を世界初納入
https://www.meidensha.co.jp/news/news_03/news_03_01/1242925_10499.html
2020年4月6日
明電アメリカスイッチギヤ設立のお知らせ
環境対応の変電製品を取り扱う初の米国製造拠点
https://www.meidensha.co.jp/news/news_03/news_03_01/1242818_10499.html
本件及び取材に関するお問い合わせ先
株式会社 明電舎
コーポレートコミュニケーション推進部 広報・IR課
電話 03-6420-8100