産学共同でNEDO先導研究プログラムに採択
「PFAS自己濃縮型回転円板プラズマ分解装置・検出装置の開発」
株式会社明電舎(以下、明電舎)は、学校法人中央大学、国立大学法人東京科学大学、国立大学法人金沢大学と共同で、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」における研究開発課題「Ⅰ-C1 PFAS 分解・無害化のための技術開発」に応募し、提案した「PFAS自己濃縮型回転円板プラズマ分解装置・検出装置の開発」が採択されました。本先導研究は2025年度から最大3年を予定しており、PFASの分解・無害化による環境負荷の低減やフッ素資源の循環に向けた要素技術開発を行います。
背景
PFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称)は、主に炭素(C)とフッ素(F)から構成される化合物群であり、化学的に極めて安定な性質を持ちます。このため、熱や薬品に強く、半導体や通信などの産業分野をはじめ、さまざまな生活用品に広く利用されてきました。
しかし、PFASは水に溶けやすく分解されにくいため、環境中に長期間残留し、水道水や河川などの水質への影響が指摘されています。とくにPFASの一部であるPFOSやPFOAは人の健康への影響が懸念されており、ストックホルム条約、REACH規制提案をはじめとする国際的な枠組みに基づき、製造・使用・輸出入の制限提案の検討が進められています。加えて、各国で飲料水や環境中の濃度基準も導入されており、今後さらなる規制の強化が見込まれます。
現在、活性炭処理、イオン交換処理、RO膜処理などのPFAS除去技術や、高温焼却による分解処理が実用化されていますが、前者ではPFASを含む残渣の処理が課題となり、後者では高エネルギー消費によるコスト増が問題となっています。さらに、半導体製造工程のようにPFASの代替が困難な分野も存在することから、高い分解性能と経済性を兼ね備えた、実効的なPFAS分解・無害化技術の開発が強く求められています。
開発の概要
本先導研究では、半導体製造工程やフッ素化学製品製造工程等で発生するPFAS含有RO濃縮水の完全無害化を達成するために、①水中の共存物の前処理技術、②PFASの吸着技術、③プラズマを用いたPFAS分解技術、④処理水のPFAS濃度の迅速測定技術を組み合わせた「PFAS自己濃縮型回転円板プラズマ分解装置・検出装置」を開発します。そのうち明電舎はピュアオゾン水生成装置※1とパルス電源※2で培った技術と経験を活かして、①の開発および③に使用するプラズマ電源開発を行います。
今後の展開
今後3年間で要素技術開発を進め、その後はシステム最適化、実証フェーズと順にスケールアップしながら開発を進めていく予定です。今後想定されるPFASの排水基準化に向けて実績を積むとともに、PFAS分解後のフッ素を回収するケミカルリサイクルの実現も視野に、産学共同での取組みを推進していきます。
以 上
※1ピュアオゾン水生成装置
ピュアオゾンガス(≒100%)を適用し、世界トップクラス濃度のピュアオゾン水を常圧で安全に生成できる装置。半導体製造分野、工業製品における薬液処理の代替や素材の改質に適用。
超高濃度・高純度ピュアオゾン水生成装置 | 半導体製造分野向け機器 | 明電舎
※2パルス電源
マイクロ秒やナノ秒という短時間の瞬間的な大電力を出力する装置。プラズマ応用機器の駆動電源として、半導体製造分野をはじめ幅広い分野に提供。
パルス電源 | 半導体製造分野向け機器 | 明電舎
本件及び取材に関するお問い合わせ先
株式会社 明電舎
コーポレートコミュニケーション推進部 広報・IR課
電話 03-6420-8100