製品・サービス

水力発電による売電の事業化に着手
~水力発電の総合プロバイダーを目指して~

2022年10月26日

株式会社明電舎(代表取締役 執行役員社長:三井田 健/東京都品川区、以下、明電舎)のグループ会社であるイームル工業株式会社(取締役社長:山口 克昌/広島県東広島市、以下、イームル工業)は、庄原農業協同組合(以下、JA庄原)から小水力発電所の譲渡を受けました。2024年度末までに機器の入れ替えなど設備の全面改修を行い、2025年度上半期からこの発電所による売電を開始する予定です。

明電グループは、2024年度を最終年度とする「中期経営計画2024」において、「地球・社会・人に対する誠実さと共創力で、新しい社会づくりに挑む」という企業姿勢のもとサステナビリティ経営を推進しており、その目標のひとつとして「カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギー関連事業の拡大」を掲げております。中でも水力発電は、創業当時から高い技術力を培い、多数の納入実績を有する、当社が最も得意とする分野です。
日本国内には未開発でありながらも潜在的には水力発電所建設に適した「包蔵水力」が数多く存在し、そのうち当社グループが得意とする出力5,000kW未満の領域は約2,600か所、電力量にして原発4基分のポテンシャルが眠っていると言われています。
当社グループは、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、この水資源が生み出すエネルギーを最大限活用すべく、製品・サービスの提供のみならず、水力発電所の運営やO&M※などの事業も含めた「水力発電の総合プロバイダー」を目指しております。その目標の具現化として、今回、小水力発電所を取得し、水力発電による売電の事業化に着手するものです。

今回、イームル工業がJA庄原から取得した小水力発電所は、広島県庄原市にある永金(えいかね)発電所です。運用開始は1966年で、イームル工業がこの地を小水力発電所の適地として提案したという経緯をもつ発電所です。発電設備は横軸フランシス水車1台(イームル工業製)と横軸三相交流誘導発電機1台(明電舎製)で構成され、認可出力は140kW。運用開始から55年以上が経過し、老朽化と2018年の豪雨災害により現在稼働を停止しています。イームル工業では、地元の皆さまからのご要望等を踏まえ、2025年度上半期での発電再開を目指して設備改修を進めていく予定です。

【主な改修内容】
・水圧鉄管、水車、発電機等の更新
・取水口、導水路、放水口等の改修

<ご参考:水力発電所(水路式)の設備>



<ご参考:取水口付近のイメージ図>

なお、永金(えいかね)発電所の発電再開にあたり、庄原市と「災害時における電力供給に関する協定書」を締結しました。発電所内にバッテリーを配備して発電された電気を常時蓄えることで、災害発生時に住民避難場所での電源として利用いただくものです。

イームル工業は、今後、老朽化した既設小水力発電所の効果的な改修・運用の提案をはじめ、新規発電所の地点開発にも鋭意取り組み、小水力発電の推進を通じて再生可能エネルギー利用の拡大と地域課題の解決に貢献してまいります。また、明電グループは、水力発電を構成する発電機・制御装置を明電舎が、水車をイームル工業が製作して一括納入できる強みを活かし、今後も信頼される発電システムを製作・納入していくとともに、事業領域拡大による「水力発電の総合プロバイダー」の早期実現に取り組んでまいります。

■イームル工業株式会社の概要
小容量クラスの水車の製造に強みを持つ水力発電メーカーです。
現・中国電力株式会社の前身である中国配電の役員を務めた技術者 織田史郎が、戦後の電力不足解と農村の活性化を目的に、全量売電を目的とした小水力発電所の建設を進めるべく、1947年に前身のイームル商会を設立しました。イームル工業の社名“EAML”は、電気機械で農村の生活を豊かにするという想いを込め、Electric=電気のE、Agriculture=農業のA、Machine=機械のM、Life=生活の各頭文字を取ったものです。



※:O&MとはOperation & Maintenanceの略で、施設の所有者に代わり運転管理業務、維持管理業務を行う事業のことです。

本件及び取材に関するお問い合わせ先

株式会社 明電舎  コーポレートコミュニケーション推進部 広報・IR課
電話 03-6420-8100

水力発電による売電の事業化に着手(PDF:895KB)