ニュースリリース 2022年世界初低温ダメージレス無接着剤接合技術を確立
独自の“OERプロセス技術”により低温での基板接合に成功

株式会社明電舎(取締役社長 三井田 健/東京都品川区)の子会社である明電ナノプロセス・イノベーション株式会社(取締役社長 髙田 壽士/東京都品川区、以下明電NPI)は、半導体集積回路やMEMS※1などの製造に不可欠な基板の接合を、低温で回路などにダメージを与えることなく行える技術(低温ダメージレス無接着剤接合技術)を世界で初めて※2確立しました。

この技術は、明電NPIのキーデバイスであるピュアオゾンジェネレータ(ピュアオゾン発生装置、後述)から供給される「高純度100%オゾン」を用いた明電NPI独自の“OERプロセス技術”(後述)によって実現されるものです。

 

1.低温ダメージレス無接着剤接合技術とは

近年、CPUなど高性能デバイスの製造では、接着剤などを使わないで基板を接合する「直接接合」という技術が用いられています。例えば3次元積層半導体の製造などに用いられるフュージョン接合では、①2枚の基板接合面に水酸基(OH基)を形成し、②接合面を密着させ、③加熱処理を行うことで、接合面の水酸基に脱水縮合反応を発生させて接合します。一方、この方法には、加熱処理の必要性から高温環境下(300~400℃)の作業となる点や基板表面に残留した水分子が脱水縮合反応を阻害するといった点が、課題として上げられてきました。

「低温ダメージレス無接着剤接合技術」は、明電NPI独自の「OERプロセス技術」により、水原料を用いずに効率良く水酸基を形成するとともに、加熱による回路へのダメージを最小限としながら基板を接合することができ、工程の時間短縮にも貢献できる技術です。

<OER(Ozone-Ethylene Radical generation technologyプロセス技術>

明電NPIのキーデバイスであるピュアオゾンジェネレータ」(後述)から供給される高純度100%オゾンとエチレンガスを反応させることで、常温※3で高活性なOHラジカル※4を発生させるNPI独自の技術です(特許取得済み)。OERプロセス技術を用いて基板表面に水酸基(OH基)を形成することで、従来の課題を解決できることが期待されます。

 

 

 

 2.実証成果の解説

図1に、2枚のシリコン基板接合面にOERプロセス技術で水酸基を形成し、接合面を密着させ、加熱処理(300℃)により接合したSi(シリコン)- Si(シリコン)接合基板外観、図2に引張試験を行った結果を示します。接合部以外の場所で破断しており、少なくとも基板の破断強度よりも強く接合していることが分かります。

図3に、Si-Si接合部の断面を示します。接合面にはSi自然酸化膜のラインが見えますが、ボイドが一切見られず完全に接合していることが分かります。

 図1:接合基板外観(Si-Si 接合)



 

 図2:引張試験結果

 

 

 図3:接合断面の電子   顕微鏡像(×450k)

 

 3.今後の予定

今回の実証では、OERプロセス技術が基板直接接合に適用できることを実証しており、今後はこの技術の特長をさらに検証していきます。
これらの成果につきましては、2022年3月に開催予定の応用物理学会春季学術講演会に投稿・発表する予定です。

 

 ■「ピュアオゾンジェネレータ」とは

ピュアオゾンジェネレータは、濃度≒100%かつ重金属などの不純物をほとんど含まない高純度のピュアオゾンガスを連続して発生させる装置です。取扱い上、毒性・爆発性に注意が必要なオゾンガスを長年にわたり積み重ねた徹底した安全設計で、安定して供給することができます。ピュアオゾンの連続発生技術は、明電NPIと共同開発者である国立研究開発法人産業技術総合研究所だけが有する技術で、ほかにもピュアオゾン関連の研究開発では国内・海外で多数の特許を取得しています。

 

 

 ピュアオゾンジェネレータ(オゾン発生装置)

国立研究開発法人 産業技術総合研究所と共同開発


【ご参考】高純度オゾンガス事業の経緯

明電舎の高純度オゾンガスに関する研究開発は1998年にスタートしました。2001年に国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究を開始し、2002年には高純度オゾン連続発生装置の開発に成功。2012年には半導体製造関連メーカーに「ピュアオゾンジェネレータ」1号機を納入しました。2020年4月、出島戦略による機動的な事業展開を目指して本事業を分社化し、明電NPIを設立。ピュアオゾンによるプロセス技術の開発を推し進め、お客様に用途提案することでピュアオゾンジェネレータの販路を開拓するという、新たなビジネスモデルに取り組んでいます。

 

以 上

 

※1:MEMS:Micro Electro Mechanical Systemsの略。機械要素部品、センサ、アクチュエータ、電子回路を一つ基板基盤、ガラス基板、有機材料などの上に集積化したデバイス。

※2:世界初:水原料を使わず水酸基を付けて(OERプロセス技術)接合する技術。

※3:常温:30~150℃

※4:OHラジカル:OH=ヒドロキシル。OHラジカルは水酸基に対応するラジカルで、

活性酸素と呼ばれる分子種の中で最も反応性が高く、最も酸化力が強い。


本件及び取材に関するお問い合わせ先

株式会社 明電舎  コーポレートコミュニケーション推進部 広報・IR課
電話 03-6420-8100


独自のOERプロセス技術により低温での基板接合に成功(PDF:1,051KB)