より豊かな未来を目指して 電気よ、動詞になれ。明電舎 より豊かな未来を目指して 電気よ、動詞になれ。明電舎

第4回 海外インフラ

志は国境を越える ―― 電気の力で世界を豊かに ――

明電舎の「舎」という字には、志を一つにする仲間が集う場所という意味が込められている。1897年の創業から1世紀以上を経た今、「電気の力で世の中を豊かにする」という創業者、重宗芳水の志は国境を越えて受け継がれ、東南アジアを中心に世界各地の社会インフラを支える原動力となっている。今回は海外インフラ事業のキーパーソンと現地で働く社員の声を通して、その国や地域の人々の暮らしに寄り添い、現地の社会課題解決に取り組む明電グループの姿に迫る。

ここに掲載のコンテンツは、日経ビジネス電子版Specialで2020年11月~2021年3月まで掲載した広告特集「電気よ、動詞になれ。より豊かな未来の実現に向けて」の転載です。

Member

  • 玉木 伸明

    取締役兼専務執行役員玉木 伸明

  • 福留 宏和

    理事 変電事業部長福留 宏和

  • 野口 智晴

    海外戦略本部 事業推進部長野口 智晴

明電舎の海外インフラ事業の歴史は1950年代に遡る。シンガポールやタイなどの東南アジア地域をはじめ、現在ではインド、中国、アメリカ、欧州などで広く事業を展開している。

海外事業の出発点が東南アジアだったことには2つの理由があると、取締役兼専務執行役員の玉木は語る。

「一つには、変圧器のような巨大な機器を輸送する際に、日本と距離が近い東南アジアはコスト的に有利な地域だったという点が挙げられます。もう一つの理由は、電力インフラを基礎から整備する必要があった当時の東南アジア諸国では、完成度の高い日本製の電力設備への需要が高かったからです」

1960年代の高度経済成長期に突入すると、自動車や繊維、化学などを中心に日本企業の海外進出が本格化していく。現地でも日本と同水準の工場を建設し、高品質の製品をつくりたいという日本企業の要望に応えるべく、明電舎は発電機や受変電設備などを供給するために、1966年のタイを皮切りに現地法人を次々に設立していった。

日本の製造業の進出とともに、東南アジアの技術水準や経済は急速な発展を遂げた。そこには電気の力で社会インフラを支える明電舎の貢献があったのだ。

多様化する社会課題に向き合い
国の発展を支え続ける

明電舎が電力インフラの整備をはじめとして国づくりの一端を担ってきたのがシンガポールだ。1965年の独立以前から進出し、1975年には100%子会社としてMEIDEN SINGAPORE PTE. LTD.(明電シンガポール、以下MSL)を設立。現在では、シンガポールに製造拠点を持つ唯一の重電メーカーとなっている。ASEAN諸国とインドをカバーする統括会社であるMEIDEN ASIA PTE. LTD.(明電アジア、以下MAP)もシンガポールに拠点を置く。

同国は先端企業の誘致によって国力を高めるという政策で知られるが、その実現には明電舎の技術が大きな役割を果たしている。

「先端企業の活動には高品質の電源が不可欠です。実は、シンガポールの停電率は世界一低い水準で、東京の約4分の1。安定した電力供給を明電舎の変電設備が支えているのです」(玉木)

電力の安定供給に加え、明電舎はシンガポールの鉄道においても欠かせない存在となっている。1987年に開業した、同国初の高速鉄道網(MRT)東西・南北線をはじめ、現在建設中(一部開業)のトムソン・イーストコースト線でも明電舎の電鉄用変電システムが採用され、その安定輸送を支えている。

国土が狭く、水資源に乏しいシンガポールでは、水の安定供給も重要な課題だ。明電舎はセラミック平膜を用いて、シンガポール初となる工業排水の再利用を実現することで課題解決に取り組んでいる。

シンガポールの独立以前から発展に貢献してきた明電舎。これからも社会インフラの構築を通して同国の社会課題と向き合い、さらなる発展を支え続ける。

Global Staff Voices

東家 浩

MEIDEN SINGAPORE PTE. LTD.

取締役社長
東家 浩

「シンガポールは日本にも増して社会インフラに対して求められるレベルが高く、そのプレッシャーは非常に大きいものがありますが、同時に明電グループに対する信頼の高さも感じています。私たちの仕事が、シンガポールという国家の発展につながっていることを日々実感しています」

デリク・アン

MEIDEN SINGAPORE PTE. LTD.

営業部 アシスタント・マネージャー
デリク・アン

「低圧スイッチギアのエンジニアとして働いていた経験があり、明電舎が業界で高い品質を誇っていることは入社前から知っていました。シンガポールの社会インフラを広く支えているという誇りが明電グループで働くモチベーションにつながっています」

シンガポールで唯一、製造拠点を持つ重電メーカーとして「ものづくり」に真摯に向き合う。自国の発展を担う誇りが、世界最高水準の電力網を支えている。

メコン地域の「これから」を支える
パートナーとして

急速に経済発展するASEAN諸国にあって、とくに目覚ましい成長を遂げているのがベトナムだ。2020年のGDP成長率は2.9%と世界的に見て高水準にあり、コロナ禍でもプラスの伸びを維持している。そんなベトナムが抱える課題について、MAPの取締役社長を務める稲木正幸はこう語る。

「同国では電力消費の急速な伸びが予想されており、安定した電力網の整備は喫緊の課題となっています」

このような背景を受けて、明電舎は2020年、ベトナム大手配電盤メーカーのVIETSTAR(ベトスター)に資本参加した。その狙いについて、変電事業部長の福留は次のように説明する。

「一つは、VIETSTARを通じベトナムの電力会社に明電舎が開発した製品を販売すること。もう一つは、サプライチェーンとしての活用です。VIETSTARは、配電盤を一気通貫で製造することができる設備を保有しています。同社の優れた設備とベトナムの高いコスト競争力を活かすことで、高品質の製品を安定して供給していきたいと考えています」

ベトナムの旺盛な電力需要を支える取り組みについて、稲木は意気込みを語る。「当社の技術と経験を活かし、VIETSTARと二人三脚でベトナムのさらなる発展に寄与したいと考えています」。

Global Staff Voices

稲木 正幸

MEIDEN ASIA PTE. LTD.

取締役社長
稲木 正幸

「古くから事業を展開しているタイに加え、ベトナムにも拠点を置くことができました。将来的には、これらの拠点を活用し、ASEANの中でも特に成長著しいメコン地域の発展を支えながら、事業拡大につなげていきたいと考えています」

ファン・ヴァン・ニエン

VIETSTAR INDUSTRY CORPORATION

取締役社長
ファン・ヴァン・ニエン

「ベトナムでは高品質で安価な製品が求められると同時に、企業に対しては持続可能な社会への貢献も重要視されています。難しい経営環境ですが、明電舎の技術とともに成長を続け、責任をもって社会を支えていく企業になりたいと考えています」

VIETSTARの製造ライン
高い技術力を誇る、VIETSTARの製造ライン。その品質はベトナムでもトップクラスだ。
 

品質と環境性能を武器に 
規制が厳しいアメリカに進出

高品質な製品を生産する明電舎にとって、規制は障壁となるのではなく、むしろ他社との差別化を図る強みになる。世界でも環境規制が厳しいといわれるアメリカにおいて、2020年4月に営業開始したのがMEIDEN AMERICA SWITCHGEAR, INC.(以下、MAS)だ。

「現在、SF6(六フッ化硫黄)ガスを使用しない特別高圧145kVのタンク形真空遮断器(VCB)を製品化し、北米市場に販売しているのは明電舎だけです。すでに数多くのVCBを輸出してきましたが、さらなる普及をめざして現地に製造会社を設立しました」と、海外戦略本部事業推進部長の野口はアメリカ進出の理由を説明する。

従来の遮断器や開閉装置の絶縁には、CO2よりもはるかに温室効果が高いSF6ガスが使用されてきたが、カリフォルニア州大気資源局(CARB)による環境規制強化によって、間もなく新規購入が段階的に禁止となる。温室効果ガスを使用しない明電舎製のVCBは、環境対策の面からアメリカの電力市場に最適なソリューションというわけだ。

さらに、真空遮断器は機能の面からもメリットが大きいと語るのは、MAS取締役社長の金田だ。「SF6は低温で液化してしまうために、カナダやアラスカのような極寒の土地で使うにはヒーターで暖める必要があります。しかし、SF6を使用しない明電舎の製品ならばその手間も不要です」。

環境対応製品に強みを持つ明電舎。そのアメリカにおける存在感は、今後ますます高まっていくだろう。

Global Staff Voices

金田 実

MEIDEN AMERICA SWITCHGEAR, INC.

取締役社長
金田 実

「近年のサステナビリティ重視の流れを背景に、クリーンな再生可能エネルギーの普及拡大も当社のアメリカ進出の追い風となっています。電力網の整備計画や再生可能エネルギーなどによる分散電源の急速な普及に対応するべく、環境性能が高くメンテナンスの手間が少ない明電舎のVCBや、そのキーパーツとなる真空インタラプタ(VI)が必要とされています。現在までに900台を超えるVCBと、40万本を超えるVIを北米のお客様へ納入しています」

ティム・ワイドマン

MEIDEN AMERICA SWITCHGEAR, INC.

製造部 ゼネラル・マネージャー
ティム・ワイドマン

「アメリカの社会インフラのために働くことにやりがいを感じています。そして、自分の仕事が温室効果ガス削減につながるとともに、我々のつくった製品が国内の何百万世帯もの家庭への安定した電力供給を支えていることに大きな誇りを持っています」

MAS製造のVCB初号器。
MASにおいて初めて製造・出荷されるVCB。
VCBの製造ライン。
VCBの製造ライン。北米市場で唯一SF6ガスを使わない環境対応製品への期待は大きい。
出荷を控えたVCB初号機とMASの社員たち
出荷を控えたVCB初号機とMASの社員たち。2020年4月の立ち上げからチーム一丸となって困難を乗り越え、この日を迎えた。

国境を越えて受け継がれる
創業者の志

これまで見てきた各国の事例に共通するのは、その国や地域の人々の暮らしに寄り添い、最適化した戦略で社会課題解決に挑む明電グループの姿勢だ。

「中期経営計画2020」において海外インフラ事業の強化に重点を置いたことを受け、明電グループの海外インフラ事業は着実に伸びている。電力インフラ、交通インフラを中心に、過去10年間で売上高は2.5倍となり、グループ内の売上高の比率も17%から30%近くにまで伸長した。今後、海外インフラ事業がさらに成長するための鍵は何か。

そのキーワードは「環境」だと玉木は断言する。世界的に環境問題が注目されていることは、電気の技術で社会インフラを支える明電舎にとって追い風となっており、この風をつかんで事業を展開することが重要となってくる。

「社会インフラに携わるということは、人々が安心・安全に暮らせる世界をつくることです。日本や海外という枠にとらわれず、電気の力で世界に貢献していく会社であることが明電舎の理念であり、これからもそうした志を世界の明電グループ社員の間でしっかりと共有していきたいと考えています」

明電舎は社名の「舎」が表すように、これまでも、そしてこれからも、志を一つにする世界中の仲間とともに、社会インフラを通じて世界中の人々の暮らしを支え、より豊かな未来づくりに貢献していく。