より豊かな未来を目指して 電気よ、動詞になれ。明電舎 より豊かな未来を目指して 電気よ、動詞になれ。明電舎

第3回 ものづくり

人々の暮らしを支える使命のもとに ―― 品質に対する飽くなき取り組み ――

1897年の創業以来、明電舎は社会インフラを担うという重大な使命のもと、ものづくりの技術を育み磨いてきた。社会インフラにおいては一つの製品が20年から30年、長いものでは半世紀以上にもわたって人々の暮らしを支えるため、社会インフラに携わる同社にとって高い品質の製品を安定的に作り続けることは責務といえる。今回は国内外に11カ所ある明電グループの生産拠点の中でも最も歴史の長い、1961年に設立された沼津事業所を訪れ、明電舎のものづくりを牽引するリーダーたちに品質の追求にかける思いを聞いた。

ここに掲載のコンテンツは、日経ビジネス電子版Specialで2020年11月~2021年3月まで掲載した広告特集「電気よ、動詞になれ。より豊かな未来の実現に向けて」の転載です。

Member

  • 鈴木 雅彦

    取締役兼専務執行役員
    プラント建設本部長竹川 徳雄

  • 佐藤 利晴

    理事兼生産統括本部長小川 雅美

  • 小倉 和也

    生産統括本部
    働き方推進室長兼環境戦略部長村越 弥之

明電舎は創業以来、「電気の力で世の中を豊かにする」という志のもと、品質へのこだわりをもって技術を磨き、社会インフラを支えるものづくりを続けてきた。

社会インフラを支える製品に突発的な故障が起きれば、多くの人の生活に大きな損失を与えてしまう。社会インフラに携わる自らの仕事の重要性を再認識したのが2011年の東日本大震災だと、取締役兼専務執行役員の竹川は語る。

「私たちは震災の直後から現地に入り、壊滅した下水処理場を再建するべく施設内の電気設備の復旧に努めました。そこで痛感したのが、電気をはじめとするインフラが使えないことが、これほどまでに大変なのかということです。同時に、社会インフラに携わる企業の責務の重大さを改めて認識しました」

変圧器
社会インフラの一つである電気の送配電に欠かせない大型の変圧器の組み立て工程。取材時に製造中だった変圧器は見上げるほど巨大で、組み上がると330tの重さになるという。これだけの規模の変圧器の組み立て作業はすべてを機械化することができず、熟練した職人の技が必要とされる。
[画像のクリックで拡大表示]

社会インフラ製品に求められる
高品質と安定供給

社会インフラに携わるということは、長いスパンで顧客に寄り添い、高品質で長寿命な製品を作っていく必要があるということを意味する。

産業用コンピュータなどを製造する電子機器工場で、製造部長から興味深い話を聞いた。技術革新のスピードが速い電子機器の世界においても、20年以上取引のある顧客から「製品の仕様は変えないでほしい」という要望があるという。機器に組み込まれる電子部品の供給期間は長くはないため、ある部品が製造中止になった場合はほかの部品で代替しなくてはならない。

部品探しから製品の検査まで大変な苦労が伴うが、明電舎はこれに応える。このエピソードは、製品の品質に加え、安定的な供給が求められる社会インフラに携わる明電舎の、ものづくりの特徴を物語っている。

産業用コンピュータの基盤組み立て工程
産業用コンピュータの基板組み立て工程。基板に搭載する最小のチップは0.3×0.6mm。産業用コンピュータの基板の組み立てや検査は多くが機械化されているものの、最終的な検査をはじめとして人間の手や目に頼る部分も大きい。
[画像のクリックで拡大表示]

ものづくりの根幹は人。
誰もが安心・安全・快適に働くために

「生産効率化のために可能なところは自動化を目指しますが、生産技術だけでは補えない部分があります。なぜなら、ものづくりには必ず人が介在するからです。生産に携わる誰もが安心・安全・快適に働くことができるからこそ生産性が向上し、高品質なものが作れるというのが、明電舎のものづくりの考え方です」と語るのは、生産統括本部長の小川だ。

工場内に入ると、暮らしを支える製品を数多く生み出してきた歴史を感じると同時に、無駄のない動線を考えた、整然としたレイアウトが印象的だった。安全や快適さに十分に配慮した中で、品質第一のものづくりに専念できる環境であることが見てとれる。

生産統括本部 環境戦略部長で働き方推進室長も兼務する村越は、次のように説明する。

「ものづくりの企業として働き方を見直すには、まず、最も多くの従業員が働く工場の環境を良くしていく必要があります。これは簡単なことではありませんが、より現場に近い場所で、現場に寄り添った改善活動を実践していきたいと考えています」

例えば、配電盤の組み立てを行っているグループ会社の明電プラントシステムズでは、製造プロセスにおける配膳や、部品供給などにトヨタ自動車のカンバン方式を取り入れることで生産性の向上を実現している。本家のトヨタでは少品種多量生産に活用している方式を、受注生産で一品一様ともいえる配電盤のラインに応用しているのが興味深い。こうした取り組みは、ラインで働く従業員だけでなく、生産統括本部の担当者と二人三脚で実施されている。

「明電舎のものづくりにおいて大切なことは3つ。スピード、気づき、レスポンスです。現場の声をすぐに反映することは、小集団(ライン)単位で製品ごとにものづくりを追求してきた明電舎がずっと大切にしてきたことでもあります。現在は生産統括本部がハブとなり、それぞれのラインで実施される様々な取り組みの好事例を素早く他工場・ラインに展開し、グループ全体のものづくり力をさらに高めていくことを目指しています」(竹川)

人財育成も環境づくりも、
すべては高い品質のために

人口減少が進む日本において、ものづくりの技術伝承は重要な課題だ。もはや、時間をかけて熟練の職人を育てる余裕はない。また、グローバル化が進む中で、現場で働く人財も多様化している。明電舎では品質のばらつきをなくし高品質を維持するために、最新のICTやIoT技術を活用して様々な取り組みを行っている。

スイッチギヤ工場
ガス絶縁開閉装置や真空遮断器などの生産を行うスイッチギヤ工場では、従来の紙の作業手順書に代わり、電子化された作業手順書をディスプレイに映し出すようにした。また、無線工具との組み合わせによって、ねじ締めの箇所も示される。一つひとつの手順がきちんと終わらないと次に進めない仕組みになっているため、不良発生や品質のばらつき防止となり、品質が均一化された。
[画像のクリックで拡大表示]

技術伝承の点で注目されるのは、VI工場で採用された視線分析ツール(アイトラッキング)だ。目視検査の際の視線を分析することで、熟練工が意識するチェックポイントだけでなく、無意識の視線といった暗黙知までを見える化し、さらに共有することができる。

真空遮断器(VI)
[画像のクリックで拡大表示]
外装の目視検査
[画像のクリックで拡大表示]
真空遮断器などに組み込まれる真空インタラプタ(VI)を月に約2万本生産するVI工場。外装の目視検査には熟練の技が必要とされるため、技術伝承を目的として熟練工の視線を追う視線分析ツール(アイトラッキング)を導入した。
新技術センター
2020年10月に稼働を開始した技術研修センター「Manabi-ya(学び舎)」では、VR(仮想現実)で事故を疑似体験することにより労働災害の撲滅を目指すとともに、AR(拡張現実)を使ったメンテナンス手順の学習をはじめ、最新技術を活用した専門教育および技術習得を目的とした専用実習エリアの設置により、高度技術者の短期育成と技術伝承を図る。
[画像のクリックで拡大表示]

生産効率性を高めるために導入した最先端技術が従業員のモチベーションの向上に結びついたのが、先ほども紹介した明電プラントシステムズの取り組みである。とくに効果的だったのは、ビーコン(位置測位システム)による作業の見える化だ。

「当初は反発も覚悟したのですが、意外なことに作業プロセスが数字として見える化されたことで、作業効率と成果のつながりを従業員が直感的に把握できるようになり、以前よりもさらにモチベーションを高めて業務に取り組むようになりました」(小川)

現在では現場から様々な提案が自発的になされるなど、従業員が経営視点で考えるようになり、好循環をもたらしているという。

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
多様なプラントで使用される配電盤を一貫生産している明電プラントシステムズの工場では、作業の改善活動を積極的に進めている。位置情報を発信するビーコンを作業員につけてもらい、リアルタイム位置測位システムを稼働したのも試みの一つだ。

明電舎のものづくりにおいて大切なのは、従業員だけではない。

「私たちはサプライヤーに支えられています。一社でも欠けてしまったら明電舎のものづくりはできません。そのために私たちが心がけているのは、サプライヤーの要望に耳を傾けること。スピードとレスポンスをもって対応すれば、サプライヤーもまた前向きな提案をしてくれるでしょう。それが共存共栄と好循環につながります」(竹川)

明電舎とサプライヤーのつながり、会社と従業員のつながりだけでなく、工場と営業、技術、研究開発や施工・メンテナンスといった多くの部門間のつながる力が、明電舎のものづくりを進化させる源泉になっている。

品質に対して真摯に取り組む姿勢が
明電舎のものづくりを進化させる

暮らしを支える社会インフラを止めないという強い思いのもと、明電舎は高い品質を維持し続けるために、誰もが安心・安全・快適に働ける環境づくりや技術伝承の取り組みを加速させ、グループ全体のものづくり力を常に高め続けている。

ものづくりを通して明電舎が見据えるのはどんな未来なのか。その問いに対して、竹川はこう答える。

「気候変動やパンデミックによってビジネスモデルは変わっても、社会インフラの重要性や、それに携わる明電舎のものづくりの根幹が変わることはありません。創業以来培ってきたものづくり力をさらに磨き、これからも高品質な製品を安定して提供し続けることで、社会インフラを支える企業としての責務を果たす。これが私たち明電舎の使命です」

創業以来変わらない、品質に対して真摯に取り組むその姿勢こそが、明電舎の歩みの原動力といえる。