Vol.314 No.3, 2007

2007年

一般論文

ハイテクと浮世絵シリーズ3
歌川(安藤)広重 木曽街道六十九次<伊勢利版>/
草津追分(くさつおいわけ)


「右東海道いせみち左中仙道美のじ」。追分とは「分かれ道」のことを指し、草津追分は、右に行けば東海道、左に行けば中山道(中仙道)に分かれる街道の要所で、戦国時代は何度も戦火に見舞われている。広重は草津川を渡る人々を描いているが、不思議なことに、川面より奥に見える宿場町の方がかなり低く描かれていることに気がつく。これは広重の描き間違いや誇大表現ではない。草津川は長年にわたって土砂が堆積し、町並みよりも川床が高くなった天井川(てんじょうがわ)なのである。
川を渡り終えた旅の女性が眺めているのは明電舎の高圧回生インバータである。回生エネルギーを利用し省エネ効果が高いこの製品は、いわば未来産業を担う影の立役者。安定電力の「橋渡し」役として、様々な所で重要な役割を果たしていく。
ちなみにこの草津川、2002年7月の治水事業で姿を消すまで一級河川の天井川として知られていた。

目次
一般論文
千住智信
舟橋俊久
2
乙黒ひとみ
舟橋俊久
奥野義道
鈴木善起
6
荒井知彦
望月 治
高田 昇
名取 勉
11
長谷川一穂
池邉啓文
井上貴義
小倉和也
15
水間嘉重
山口浩史
秀島裕人
寺田敦彦
19
渡辺広光 23
高橋常悦
庄子義人
佐藤光寛
井澤 努
29
鴨下賢一
多々良哲也
川島一郎
33
佐伯 博
梅田幹男
串田武史
小久保鉄之助
39
深澤行夫
山田 弘
43
47