極寒の地、アラスカ。
遠く離れたこの土地の暮らしと地球環境を、
日本の真空技術が守っていました。
過酷な環境下で、安定した電力供給の実現と、
地球温暖化対策という二つの課題に向き合う
「真空遮断器」にまつわる物語。





① 地球環境を守る
アメリカでは、
州レベルで環境保護に向けた
取り組みが進んでいます。
アメリカのGHG排出量
世界ランキング
SF6ガスのCO2に対する
温室効果
※IPCC第5次報告書に基づく
カリフォルニア州の
SF6ガス規制開始年
経済大国であるアメリカは、世界第2位の温室効果ガス(GHG)排出国でもあります。
GHGとして有名なのはCO2ですが、その23,500倍とも言われる温室効果をもつ「SF6」というガスが存在します。
実は、このSF6ガスの約80%は変電所などで稼働している”遮断器”という機器で使用されているのです。
環境意識が高いことで有名なカリフォルニア州では「SF6ガス」を使用した機器の購入を禁止する規制が
2025年から始まりました。この動きはニューヨーク州などにも広がりつつあり、環境保護への取り組みが着実に進んでいます。


② 暮らしを守る
極寒の地アラスカにおいて、
電力は暮らしの命綱となっています。
環境と暮らしの両立のために
アラスカ州でも地球環境に対する取り組みは進んでいます。フェアバンクスを中心としたエリアで電力供給を担うGolden Valley Electric Associationでは、「2030年までに炭素排出量26%削減」という目標を掲げています。
しかし、この地の電力供給には、環境配慮に加えてもう一つ大事な側面があります。
厳冬期には-40℃以下を記録することもあるこの地では、
「車のエンジンを温めるためのブロックヒーターが欠かせない」「水道管の凍結を防ぐために常時温める必要がある」など
寒さが厳しくなるにつれ、電力需要が高まっていきます。
極寒の地で生きる人々にとって、24時間365日の安定した電力供給はまさに生命線なのです。
極寒の地での課題
遮断器に使用するSF6ガスは-20℃付近で(※)液化してしまうため、ヒーターで温め続ける必要があります。ヒーターが不調になると、昼夜問わずメンテナンス員を派遣しなければなりません。
SF6ガスを使用しない真空遮断器は、こうした極寒の地でも電力の安定供給に貢献することができるのです。
※機種などによって液化温度は変化します



そもそも「遮断器」とは
電力供給に欠かせない装置のひとつ
変電所にある遮断器は、各家庭に必ず備え付けられている「ブレーカー」と似た役割を持ちます。ブレーカーは過大な電流が流れると自動的に電気を切って、家庭内の電気機器や住宅の安全を守ります。
同様に遮断器は、例えば落雷などで送電網に大量の電気が流れ込んだ場合に大規模な事故や停電が起こらないよう、異常を察知してからわずか0.1秒の間に電気を遮断することで電力網を守っているのです。
- 電力系統の安定運用に欠かせない設備
- 異常電流から設備を保護
- 大規模停電や事故を防止
- 電力網と暮らしを支える重要な役割を担う
明電舎の真空遮断器
半世紀前から繋いできた
地球環境と暮らしを守る技術
- SF6ガスフリー
- 温室効果ガスを排出せず、地球環境に優しい設計
- 極寒環境に強い
- 液化するガスを使用しないため、極寒の環境でも安定した電力供給が可能
- 両立する価値
- 環境保護と人々の暮らし、
どちらも守ることができる
※この記事の内容は制作当時の取材に基づくものです