
絶対に止められない、
航空機の就航。
成田国際空港の電力を守り抜くため、
4人が挑む
インフラ更新の現場。
成田国際空港 照明変電所
電気設備更新プロジェクト
日本と世界をつなぐ空の玄関口、
成田国際空港。
その滑走路を照らす
照明変電所の受変電設備および
非常用発電設備を、空港の運用を
止めることなく更新する──。
数十億円規模、2024年から2027年に
わたる長期プロジェクトに、
挑むことになったチームの軌跡を、
営業・営業技術・品質保証・施工管理、
それぞれの持ち場で奮闘する
4人のメンバーによるストーリーで
追いました。
Project Member

社会・電鉄システム営業本部 社会システム営業部/営業
A.M
国際教育学部 中国語学科卒|2022年入社(入社5年目)

社会・電鉄システム技術本部 変電技術部 産業・施設技術部/営業技術
Y.K
理工学部 電気電子生命学科卒|2015年入社(入社12年目)

装置工場 システム装置ユニット 品質保証部/
品質保証(工場/試験)H.I
工学研究科 工学専攻卒|2024年入社(入社3年目)

プラント建設本部 工事管理第一部 施設工事部/
プラント工事(施工管理)S.A
電気科卒|2021年入社(入社6年目)
「誰もが知る空港を支える仕事。ワクワクと責任感が同居する日々でした」(A.M)
2022年に入社して以来、最初に携わった大型プロジェクトがこの案件でした。誰もが知っている、自分自身も利用したことがある成田国際空港の仕事であり、しかも会社としては約10年ぶりとなる空港案件。規模の大きさもあり、担当することが決まった瞬間は、純粋にワクワクしたことを覚えています。
営業としての私の役割は、お客様からいただいた技術的な要望を社内へ正確に展開すること、打合せや現地調査の日程調整、そしてプロジェクト全体の管理です。数十億円規模の工事を元請として契約するにあたり、まず苦労したのは、全体工程の計画です。図面製作・機器製作・製品検査・現場施工・現地試験等々、ここでは書ききれない程の事項を各工場・技術・工事部隊・協力業者との打合せを重ね、工程表へ落とし込みお客様へ提出する必要がありました。幸いなことに、過去にこの空港を担当していた先輩社員がまだ社内に在籍されていて、大型プロジェクトを進める上での注意点や空港ならではのセキュリティの厳しさや夜間の切り替え作業の難しさといった具体的なアドバイスを得られたのは、大きな支えとなりました。
決して一人で進められる仕事ではありません。約10人のチームで案件にコミットしているからこそ、つまずいた時は周りを頼るのが鉄則です。実は成田付近で個人的に気になっていた居酒屋がありまして、全員集合できた際に連れて行ったんです。仕事を離れて顔を合わせ、お互いの人柄を知る機会をつくれたことは、その後のチーム連携に大きく効いたと感じており、ある意味このプロジェクトでの一番のファインプレーだったかもしれません(笑)。このエピソードに限らず、電話やWeb会議だけで終わらせずにお客様のもとへ足を運び、対面で熱量を共有することが、認識のずれを防ぎ信頼を築く土台になる──それがこのプロジェクトを通じて得た、一番の学びです。

「使いやすくなりました」──お客様の一言に、すべての苦労が報われた(Y.K)
営業技術の立場でプロジェクトに参加している私は、お客様に一番近い技術者という立場にあります。初めて現地調査に赴き、既存設備の状況を確認した際、「この設備に何かあれば全世界に影響が及ぶ」という事実を肌で感じました。光栄である一方、絶対に電力を途絶えさせてはいけないという大きなプレッシャーが伴う現場です。
受配電設備に加え、滑走路ごとに1台ずつ配備された非常用ディーゼル発電機2台を含む30〜40面規模の配電盤。その設備を30年以上守り続けてきたお客様からは、新設設備に対して多様なご要望が寄せられました。たとえば、女性の担当者でも操作しやすい高さへの変更や、内部が見える透明パネルの導入。一つひとつの要望にはカスタマイズが伴うため、工場の設計者と何度も協議を重ね、妥協点や代替案を模索していかなければなりません。お客様のご要望を正確に把握し、社内に迅速かつ的確に伝えて最善の設備製作や更新工事へとつなげていく──そのために、設計・試験・工事の各担当者とは日頃から綿密なコミュニケーションを心がけてきました。
こうした地道な積み重ねの先に、忘れられない瞬間が訪れました。完成した製品をお客様が確認された際、「使いやすくてメンテナンスがより楽にできそうです」とのお言葉をいただけたのです。それまでの苦労がすべて報われた思いでした。さらに、昨年のクリスマスに行われた重要な停電試験──全停電させて非常用発電機が起動するかを確認する大きな山場──を前には、成功を祈って神社にお参りに行ったほど。無事に試験を終えた時、メンバー全員で分かち合った達成感は、部署の垣根を越えた絆をさらに深めてくれたと感じています。

「なぜその動きをするのか」を問い続ける──試験の先に見えた全体像(H.I)
まだ経験の浅い自分がこのような大規模案件に携われるのは刺激になりましたが、最初はどこから手をつけていいか分からない状態でした。家庭用ブレーカーが100Vであるのに対し、今回の設備が扱うのは6,600Vの高圧電力。近づけば感電してしまう規模の電気を対象に、安心・安全な製品であるかを確認してお客様に提供する。それが品質保証としての私の仕事です。
まず始めたのは、設計書で設備の全体像をつかみ、図面と実物をブロックごとに照らし合わせて理解を深めるところから。オーダーメイドの製品であるため、盤ごとに仕様が異なりがちですが、お客様視点で違和感がないよう気になった点はすべてメモに残し、設計部門と協議しながら統一感を持たせることを意識しました。問題や不明点を一つも漏らさないよう、忙しい中でもメモを残す習慣は、先輩方や他部署のサポートを受ける際にも役立ったと思います。有識者の考えや経験を共有する場が設けられており、担当試験員だけに依らない判断体制が整っていたことも心強いものでした。
そうした日々の積み重ねが実を結んだのは、お客様の立会検査で合格をいただけた瞬間でした。長期間に及ぶ難しい製品試験を経て、「お客様のために」という意識を貫けたことを誇りに感じています。振り返ると、自分自身にも大きな変化が生まれました。以前は目の前の試験を終わらせることに集中していましたが、今では「なぜその動きをするのか」「全体の中でどう機能するのか」を深く理解しようとする姿勢が身についたと思います。後輩にアドバイスするとすれば、「これは何だろう?」と一つずつ理解していく癖をつけること。分からないことは周りに聞ける環境が整っているからこそ、自分で考える時間を持ちながら成長していってほしいですね。

滑走路脇の赤いライトが教えてくれた、この仕事の重さと誇り(S.A)
現地調査で初めて現場に足を踏み入れた日のことは、今でも鮮明に覚えています。目の前を飛行機が飛び立っていく光景を見て、責任の重さを実感しました。現場に入るには特別な許可証が必要で、空港の搭乗手続きと同じように金属探知機や持ち物検査を受けなければなりません。航空法や電気事業法への適合も求められる、空港特有の厳格なセキュリティ体制のもとでの施工です。
そうした緊張感がもっとも高まるのが、空港が停止する深夜1時から4時にかけて行う切り替え作業でした。20名ほどの作業員とともに、ケーブル1本のミスも許されない状況で図面確認と声掛けを徹底。既設設備が多く残る中、運用中の機器を避けながら一つひとつの作業をシビアに進めなければなりません。新規の協力会社との信頼関係構築にも苦心しましたが、朝礼だけでなく現場でのこまめな会話を重ねることで、設備の重要性や安全意識を少しずつ共有していきました。
そんな日々の中で、忘れられない光景があります。ある日、滑走路の誘導路に灯る赤いライトを目にした時、自分たちが更新した設備がなければこのライトは光らず、飛行機が安全に停止・移動できないのだと改めて気づかされたのです。現場内の5S──整理・整頓・清掃・清潔・躾──を常に意識し、小さなことの積み重ねが工事の成功につながると信じています。このプロジェクトを通じて、営業・技術・工場といった各部署がそれぞれの役割を果たし、互いに支え合ってこそ一つの仕事が成り立つことを実感しました。自分の成長を感じながら社会に貢献できるこの仕事に、大きなやりがいを感じています。将来は、現場で学んだことを後輩へ伝えていける存在になることが目標です。
