ピュアオゾンガスと水蒸気による新たなOH ラジカル生成技術の確立 原子層堆積プロセスへの適用に成功 ~先端半導体用ゲート酸化膜の膜質向上効果を確認~
株式会社明電舎(以下、明電舎)は、ピュアオゾンガス※1 と水蒸気を用いて、化学反応性の高いOH
ラジカル※2 を生成する新しい技術を確立しました。本技術は、半導体製造プロセスの一つである原子層
堆積(ALD)※3 に適用することで、材料品質の向上に寄与することが期待されます。
本研究成果の詳細は、株式会社ジャパン・アドバンスト・ケミカルズおよび明電ナノプロセス・イノ
ベーション株式会社との共著により、米国フロリダ州の現地時間、2026 年6 月29 日に開催される
「ALD/ALE 2026」において発表予定です。
技術開発の背景
近年、AI や高度情報処理に対応するため、半導体の高性能化および高集積化が進んでいます。その結
果、構成材料にはさらなる薄膜化が求められる一方、絶縁性などの特性維持が課題となっており、より
高品質な成膜技術の開発が必要とされています。
開発のポイント
本技術はオゾンの熱分解により生成される原子状酸素と水蒸気を反応させることで、OH ラジカルを
効率的に生成するものです。複雑な装置を用いることなく、温度制御のみで反応性種を制御できる点が
特長です(図1 参照)。
本技術を原子層堆積(ALD)に適用し、ゲート酸化膜※4 の一つである酸化ハフニウム(HfO₂)膜を形成
した結果、従来のオゾンガスのみの場合と比較して、炭素(C)や窒素(N)などの不純物を約1/100
にまで大幅に低減することができました(図2 参照)。不純物の低減により絶縁特性の向上が期待でき
ます。
技術の特長
150℃以上の温度域における半導体製造プロセスでの利用が可能
既存のALD 装置に対し、ピュアオゾンジェネレーターと簡易なガス配管機構のみで導入可能
ピュアオゾンガスの高い反応性により不純物低減効果を発揮します。
今後の展開
半導体デバイスへの適用検証を進め、量産プロセスへの導入を目指します。またHfO2 以外の
先端半導体材料への応用についても検討を進め、本技術の適用範囲拡大を図ります。
以 上
※1 ピュアオゾンガス
オゾン濃度80vol%以上の高濃度ガス(一般的な他社製品は15vol%以下)。
液化蒸留によりオゾンを高濃度化する過程で、NOx等の不純物を大幅に低減した高純度ガスであり、半導
体製造プロセスに適しています。
また、本ガスは、明電ナノプロセス・イノベーション㈱が製造するピュアオゾンジェネレーターにより生成・供給され
ています。装置はSEMI-S2 規格などの認証を取得しており、半導体製造プロセスでの運用実績があります。
製品情報:ピュアオゾンジェネレーター
https://www.meidensha.co.jp/npi/products/prod_01/
※2 OHラジカル
活性酸素の1 種。最も高い酸化力を有しており酸化反応後は水や二酸化炭素など無害なガスに変化します。
※3 原子層堆積(ALD)
原料ガスと反応ガスの供給と排気を交互に繰り返し、原子一層ずつの厚みで成膜を行う手法。
表面反応のみで成膜できるため、優れた段差被覆性と精密な膜厚制御が可能で、次世代半導体製造プロセスにおいて不
可欠な成膜技術です。
※4 ゲート酸化膜
MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などの半導体デバイスでゲート電極と半導体基板
を絶縁するために形成される酸化膜。漏れ電流による半導体素子の誤動作防止および消費電力増大の抑制のため、高い
絶縁性が求められます。
本件及び取材に関するお問い合わせ先
株式会社 明電舎
コーポレートコミュニケーション推進部 広報・IR課
電話 03-6420-8100
