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仮想同期発電機機能付き蓄電池用インバータ(VSG-PCS)を市場投入へ

2023年10月03日

株式会社明電舎(代表取締役 執行役員社長:井上 晃夫/東京都品川区、以下 明電舎)は、再生可能エネルギーの導入拡大に寄与する、仮想同期発電機機能付き蓄電池用インバータ(VSG-PCS)の製品化を2023年度に完了し、市場投入いたします。
この製品は、明電舎が東京電力パワーグリッド株式会社(以下 東京電力パワーグリッド)と共同開発した技術を実装しており、定格容量は600kVAです。電圧型(GFM:Grid Forming)方式を採用した、仮想同期発電機機能付き蓄電池用インバータは、国内メーカーとしては初の市場投入 (当社調べ)となります。

【用途】
本装置は、電源構成に占める再生可能エネルギーの割合が増加すること伴い課題となる系統慣性の不足を補い、再エネの導入拡大に寄与するものです。主に島嶼地域等の小規模系統での活用が期待されています。

【製品開発の背景】 
カーボンニュートラルの実現に向けて、日本では複数の発電方法を効率的に組み合わせるエネルギーミックスが推進されています。電力系統において再生可能エネルギー電源の比率が高まると、火力発電等の同期発電機が相対的に減るため、電力系統全体の慣性が減少し、擾乱発生時に系統の安定性が低下するという問題が指摘されています。

そこで明電舎と東京電力パワーグリッドは、従来の同期発電機と同様に慣性力(※1)と同期化力(※2)を供給できるインバータ制御技術、「仮想同期発電機(VSG)機能」を開発しました。本技術を具備した製品評価モデルにおける機能検証は既に完了しております。

※1 慣性力:電力系統が周波数を維持し続けようとする力。慣性力が大きい方が、電力系統で需給バランスが崩れた際に、周波数変動(変化量、変化速度)が小さくなる。
※2 同期化力:同期発電機が並列運転している状態で同期状態を乱す系統擾乱があった場合などに、元の状態に戻そうとする復原力。

仮想同期発電機機能付き蓄電池用インバータ(VSG-PCS) の特長】

  • インバータから、従来の同期発電機と同様の慣性力及び同期化力を供給することが可能。
  • 電圧型(GFM:Grid Forming)方式を採用しており、VSG-PCSのみで系統を構成して主電源として動作が可能。また、他の発電機等の電圧源との並列運転が可能。
  • 過電流抑制機能により、系統事故等に起因した過電流を抑制して運転継続することが可能。
    (東京電力パワーグリッドと共同で特許取得済み)
インバータは過電流に対する耐量が小さく、系統事故時に出力する電流を制限する必要があります。しかし、事故電流が減少すると従来の電力系統に設置されている保護リレーの感度に影響を与えます。本方式では、インバータの過電流耐量内で最大限の事故電流の供給が可能となり、保護リレーの感度への影響を最小限にすることができます。

当社は、市場ニーズに的確に応え、環境負荷の低減や低炭素・脱炭素社会の実現に貢献する製品・システムの供給を通じて、より豊かな未来社会の実現に貢献していきます。

【装置仕様

【関連情報】
明電時報 Vol.373 No.4, 2021
「仮想同期発電機機能付き蓄電池用インバータ(VSG-PCS)の開発」
https://www.meidensha.co.jp/rd/rd_01/rd_01_02/rd_01_02_23/rd_01_02_17_01/pdf/No373_06_web_211022.pdf