叶える人、叶える技術。明電舎

提供:明電舎

ここに掲載のコンテンツは、日本経済新聞 電子版で
2018年12月~2019年2月まで掲載した広告特集「叶える人、叶える技術。明電舎」の転載です

叶える人、叶える技術。明電舎

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ここに掲載のコンテンツは、日本経済新聞 電子版で
2018年12月~2019年2月まで掲載した広告特集「叶える人、叶える技術。明電舎」の転載です

Stage7  落雷の脅威から電力網を守る世界トップクラスの「アレスタ(避雷器)」落雷による停電を防ぐ 28回の多重雷でも電力設備にトラブルなし Stage7  落雷の脅威から電力網を守る世界トップクラスの「アレスタ(避雷器)」落雷による停電を防ぐ 28回の多重雷でも電力設備にトラブルなし

猛烈なゲリラ豪雨と落雷がこの夏(2018年)、日本列島を襲った。8月中旬には局地的な降雨や落雷の影響で東京、神奈川、静岡の1都2県で最大約1万6700軒の停電が発生、同下旬には、落雷によって東京都内の約7700軒で停電が発生し、公共交通機関では運転を1時間半見合わせるなどの被害が続出した。また、夏にとどまらず、冬でも落雷による事故は少なくない。雷で電力網の機器が損傷すると大規模な停電につながりかねない。1年を通して地球温暖化などによる異常気象が起こり、落雷の被害が増えるなか、先進国のみならず新興国からも注目を集めているのが落雷の脅威から電力網を守る先端技術の粋を集めた「アレスタ(避雷器)」だ。

明電舎変電事業部ソレスター工場長兼技術部長の澤田敦志は、「落雷による停電などの被害は国内外で増えています。雷が変電所や送配電線などに落ちると、変圧器や開閉器など、電力供給に欠かせない設備の故障原因となります。このため各設備にはアレスタが取り付けられているわけです」と話す。

明電舎は100年以上前からアレスタを作り続けてきた老舗。「ソレスター」というブランドで電力会社などに提供してきた。澤田が所属する沼津事業所(静岡県沼津市)をマザー工場として、中国、ドイツに計3カ所のアレスタ製造・開発拠点を持つ。国内でエンジニアとして活躍する澤田は8年間、中国に駐在した。当初は「現地の人との意思疎通も大変でした」という澤田は技術移管に奔走。沼津事業所に戻った今も、中国やドイツに度々出張し、3拠点の相互連携の橋渡し役となっている。

澤田 敦志
(株)明電舎
変電事業部 ソレスター工場
澤田 敦志

技術移管の成果も出ている。「海外の話ですが、当社グループのアレスタを導入した電力施設で、なんと28回も多重雷が発生した事例がありました。しかし、電力機器設備のトラブルを防ぐことができました」と澤田は胸を張る。また明電舎は、30年以上前には、既に送電用のアレスタも開発していた。ICT(情報通信技術)などの進化に伴い、デジタル機器が社会の隅々にまで行き渡った現在、送電線への落雷による停電や瞬時電圧低下(瞬低)は甚大な被害を及ぼす。送配電線を保護するアレスタはこれらの抑制に大きな効果を上げているのだ。

落雷から電力施設を守るアレスタ 明電舎は日中独の3拠点で生産している
落雷から電力施設を守るアレスタ
 明電舎は日中独の3拠点で生産している

世界のスタンダード技術を確立
小型軽量化へ 
体積を44%減

アレスタとは、素子と磁器(セラミック)やポリマーなどのがいしから構成される電気機器で、通常は電気を通さない絶縁物だ。だが、雷などの過電圧が侵入すると瞬時に導通状態になり、大地に電流を流し過電圧を抑制することで電気設備を保護する役割を果たす。大地に電流を流した後は絶縁物に戻るという半導体特性を持つ。

アレスタはどのようにして製造されているのか。沼津事業所の専用工場を訪ねた。

ダーン――。工場内に入ると、いきなり轟音が鳴り響いた。変電事業部ソレスター工場技術部の高田雅之は、計測器の波形を見ながら、「電力設備に落ちる雷を想定して、100kA(キロアンペア)の電流を素子に流して耐量試験を行っています。やはり品質が第一ですから」と話す。試験を繰り返し、アレスタの品質向上にまい進する明電舎。実はこの工場で、ある偉業を達成している。

1970年代に、連続する多数回の落雷にも耐えられる素子を組み込んだ「電力用酸化亜鉛形ギャップレス避雷器(MOSA)」を世界に先駆けて開発、今も国内外の業界のスタンダード製品になっている。

現在、明電舎が追求しているのは小型軽量化だ。「電力施設の様々な場所にアレスタを設置する必要があるので、コンパクト化は不可欠です。環境問題もありますし、日本は地震が多い国でもありますから、小さくて軽く丈夫で高い品質の製品が求められています」と高田は話す。

高田 雅之
(株)明電舎
変電事業部
ソレスター工場 技術部
高田 雅之

工場内では、まるで高級な焼き物をつくるかのようにして素子が生産されていた。混ぜる原料の微妙な調整、摂氏1000℃以上での焼成、高度な絶縁コーティング。高田は、「複雑な製造プロセスを日々改良し、改善することが必要になります」と熱く語る。大学院時代からの知識をベースに“匠の技”を積み重ねてきた。

手のひらサイズの素子を持ち上げてみると、予想したよりもズシリと重い。高田は直径の異なる2つの素子を見せて説明を始めた。より小さなサイズのものは2015年に開発した高性能素子だという。「実はこの2つの素子は、同じエネルギー量を吸収できるのですが、体積は従来の素子と比べて4割以上減り、直径は64ミリから48ミリまで小さくなっています」と強調する。

アレスタに組み込まれる素子。
さらなる小型化を目指す。

重電メーカーの強みを活用
顧客に最適の製品を提案

明電舎にはもう一つ大きな強みがある。高田は、「例えばあるお客様向けに素子やアレスタを開発する場合、製品単体で考えるのではなく、変電施設全体の仕様を確認してどのような素子が最適なのかということも考えます。単にニーズにお応えするのではなく、重電メーカーとして培ってきた知見を生かしてお客様に最適な素子の厚さや性能の組み合わせをご提案できるのが私たちの特長です」と強調する。アレスタだけではなく変圧器や開閉器など電力系のシステムをトータルで提案して構築できるため、電力会社など顧客からの信頼は厚い。

しかも、明電舎の場合、セラミックス技術の結晶といえる素子と重電メーカーとして培った電気技術を組み合わせ、市場のニーズに合うアレスタを提供できるのだ。現在、海外電力事業の一つとして、電力機器全体の課題を把握し、顧客に寄り添い、ソリューションとして提供するグローバル体制の構築にまい進している。

日本から中国に技術を移管
現地メーカーを大きくリード

今や世界最大の電力消費国となった中国では、発電所や変電所など電力施設が次々新設されている。黄河文明の発祥の地ともいわれる河南省鄭州市で、明電舎は、2004年にMEIDEN ZHENGZHOU ELECTRIC CO., LTD.(MZE)を設立した。500kV(キロボルト)系統用までのアレスタや素子を生産する一大量産拠点となっている。

中国では都市部中心に小規模変電所の新設が増えている。このためMZEの主力製品となっているのは、変電所向けに設置スペースを抑えた開閉装置用のアレスタだという。MZEの副総工程師兼開発部長の馬 艾茜(マ・アイチェン)は、「(開閉装置用の)素子の厚みを従来の2分の1に抑えることで、アレスタの小型化にも成功しました。このタイプの開閉装置に使われるガスの使用量も削減でき、地球環境対策にも貢献しています」と語る。現地の中国メーカーを小型化や環境対応の点で大きくリードしている。

馬 艾茜(マ・アイチェン)
MEIDEN ZHENGZHOU ELECTRIC CO., LTD.
(MZE)
馬 艾茜(マ・アイチェン)

MZEでは、「日本の技術と品質管理システムを徹底して取り入れ、日本と同等の品質の素子、そしてアレスタを製造しています。社内外での教育にも力を入れ、新製品開発に関しても日本との技術交流や、ドイツを含めた3拠点での開発会議を定期的に実施しています」と開発部長の馬は話す。

中国に長く駐在し、人材育成・技術移管に当たった澤田は、「市場からの高い要求に応えるためには、現地生産スタッフの能力向上は欠かせません。今は沼津事業所で2人の中国人技術者を受け入れ、研修に当たっています」と語る。

アレスタや素子の一大量産拠点である、中国MZEの工場

日中独の3拠点の
シナジー効果で
世界ナンバーワン目指す

グループのもう一つの拠点が、1889年に創業し、2015年に明電舎グループに加わったドイツの老舗避雷器メーカー、TRIDELTA MEIDENSHA GmbH(TMG)だ。もともと食器の陶磁器メーカーとしてスタートしたが、すぐに電気用の磁器の生産にシフト、1960年代からアレスタの生産を始め、現在は高電圧アレスタで年産8千台の規模を誇る。80カ国以上に代理店などの販売網を展開し、120カ国以上にアレスタを納めている。

欧州の重電大手に伍(ご)して、アレスタの製造技術を磨き、海外に販売網を広げた。「私たちは世界中から安価な部材を調達し、組み立てる能力に長けています。世界的な競合先が近隣に存在するため、市場の動向をいち早く把握することができ、製品の開発にも迅速に生かすことができます」。TMG開発部長のカールステン・ラウエはこう語る。TMGは世界トップクラスの価格競争力でアレスタを安定供給できると、市場からの評価も高い。

「TMGの購買力を生かし、今後共同調達も推進して行きたい」と澤田は話す。沼津事業所は主に国内市場向けのアレスタの製造拠点だが、「素子を核にしたアレスタの研究開発と生産技術の中核拠点でもあり、MZEとTMGへ技術を移管していくことが最大のミッションです」と語る。日本と中国、ドイツの3拠点と相互に連携してシナジー効果をあげ、アレスタ分野で世界ナンバーワンメーカーを目指す。

Karsten Laue(カールステン・ラウエ)
TRIDELTA MEIDENSHA GmbH
(TMG)
Karsten Laue
(カールステン・ラウエ)

実は先進国ドイツなど欧州でも停電が頻発し、社会問題化している。停電が発生すれば、スマートフォンやパソコンも使えなくなり、ネット社会は機能しない。異常気象が地球規模で起こるなか、地域社会の課題解決のため、明電舎の技術者はなおも奔走中だ。

TVCM「電気よ、動詞になれ。」ドイツ篇

まとめ

アレスタの歴史は1世紀を超え、国内外で多くのメーカーがしのぎを削っている。澤田は「私たちの使命は、アレスタで世界中に広がる電力網を守ること、それはつまり人々の暮らしを守ること。製品単体の性能を追い求めるだけではなく、重電メーカーの強みである電気技術やノウハウを生かして、市場にとって最適なアレスタを作り続けていきたい」と語る。新興国では電力消費が高まり、配電系統から超高圧系統まで需要が急増している。先進国では耐震性や安全性、環境性に優れ、小型軽量化したアレスタが求められている。明電舎の役割はますます大きくなりそうだ。

明電舎のアレスタ(避雷器)

明電舎のアレスタ(避雷器)

用語解説

電力用酸化亜鉛形ギャップレス避雷器(MOSA)
酸化亜鉛素子(ZnO素子)を組み込んだアレスタ(避雷器)。1975年に世界で初めて明電舎が開発した。従来型の避雷器の欠点とされてきた耐多重雷性能や耐汚損性能を飛躍的に向上させ、世界中で製造されているアレスタの主流となっている。2014年には電気・電子技術やその関連分野で歴史的業績をたたえる「IEEEマイルストーン」にも認定された。重電機器単体での受賞は国内初となる。
※敬称略