叶える人、叶える技術。明電舎

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(静岡県狩野川西部浄化センター)

ここに掲載のコンテンツは、日本経済新聞 電子版で
2017年12月~2018年4月まで掲載した広告特集「叶える人、叶える技術。明電舎」の転載です

(静岡県狩野川西部浄化センター)

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2017年12月~2018年4月まで掲載した広告特集「叶える人、叶える技術。明電舎」の転載です

叶える人、叶える技術。明電舎

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Stage5 AIで水インフラを守る 下水処理場の未来を見据えて現場データを技術開発に生かす Stage5 AIで水インフラを守る 下水処理場の未来を見据えて現場データを技術開発に生かす

「下水処理設備のデータを常時収集し、解析することで、設備の緊急停止を防ぐ故障予知の技術開発に取り組んでいます」(ICT統括本部開発部IoT製品開発課の武田秀一)。静岡県東部、富士山の裾野にある下水処理場狩野川西部浄化センター(沼津市)。18ヘクタール強の広大な敷地の中に下水を浄化するための建屋が並ぶ。その施設を武田は久しぶりに訪ねた。

下水処理場では、バクテリアなどの微生物を利用して、下水をきれいに処理し、河川や海に放流している。中核の設備が緊急停止すれば、流域から集まった汚水がうまく処理されず、日常生活に支障が出たり、環境汚染を引き起こす懸念もある。

この下水処理施設は沼津市や三島市など3市2町、流域人口約17万人の下水処理業務を行う施設だ。1日の処理量は約5万トン。明電舎のグループ会社、明電ファシリティサービスが日常の運営・管理業務を担う。武田は「処理場には、設備のメンテナンスなどのタイミングで伺い、データを収集するセンサーの設置や取り外しを行います」という。

武田 秀一
(株)明電舎
ICT統括本部
開発部 IoT製品開発課
武田 秀一

同処理施設内に設置された送風機。ゴーンという猛烈な音を立てながら、下水の処理工程に必要なブロワに空気を送り込み、有機物を分解する微生物の働きを活発化している。

その送風機には複数のセンサーが取り付けられていた。「電流や温度、振動など3~4種類のデータを計測して、クラウドへ送るためです。収集したデータをもとに、故障につながる様々な事象を解析します」と武田は説明する。

複数のセンサーが取り付けられた送風機

明電舎は現在、IoT(モノのインターネット)とAI(人工知能)を活用した遠隔監視・診断サービスの実証実験を行っている。データをクラウド上に収集、AIを使って解析し、設備が故障したり、停止したりする前に予兆を検知するシステムを開発中だ。事前に不具合や異常が分かれば、メンテナンス担当者を迅速に現場へ派遣して対応することで、設備のダウンタイム(停止時間)が抑えられ、予防保全の精度は大幅に向上する。

システム開発に必要なデータを常時収集し
クラウドに集積する
下水処理場を対象にした明電舎の遠隔監視・診断サービスのイメージ図

異常データを集め、
独自のAI開発へ

入社5年目の武田と同期入社で、共に遠隔監視・診断サービスの開発に携わるのがIoT製品開発課の藤田浩輔だ。センサーから収集した電流データを解析し、いつもと違う異常を検知するAIシステムの開発に当たっている。

上下水道や産業用のモーターの寿命は通常15~20年と長い。しかし、モーターは様々な原因で短期間のうちに劣化したり、故障したりするケースがある。藤田は「原因は温度変動や振動など色んな事象が考えられますが、絶縁劣化によるモーター内での放電現象も大きな要因になりえます」と指摘する。このような事象を発見するために定期的に設備点検を実施しているが、タイミングによっては異常を検知できず、不具合につながる可能性もないとは言い切れない。「そこで設備に取り付けた電流センサーからリアルタイムで放電現象をつかみ、AIで診断するシステムを開発中です」と藤田は語る。

温度や振動の数値は比較的容易にデータ解析しやすい。しかし、突発的に起こる放電現象がどの程度モーターに影響を及ぼすのか、そのデータを解析してAI開発につなげるのは大変な作業だという。

藤田 浩輔
(株)明電舎
ICT統括本部
開発部 IoT製品開発課
藤田 浩輔

AIは様々なビッグデータを収集し、統計学や機械学習などを駆使して開発するが、一番難しいのが異常データを集めることだ。下水処理設備は正常に稼働しているのが当たり前。なかなか実際の異常値をとることはできない。そのため仮説を立て、異常状態の模擬データを作成して実証実験を繰り返す。「仮説はただデータを当てはめればよいわけではありません。長年にわたり、実際にお客様の課題解決や現場の維持管理に従事してきた明電舎だからこそ、起こりえる事象を想定できる。それが明電舎の強みです」と藤田は話す。自社に蓄えられた技術とノウハウに加え、外部の大学や他の企業とも連携し、オープンイノベーションという考え方で開発速度を上げている。

最大の課題は異常データの収集

「ベテラン技術者は、モーターの動く室内に入った瞬間に『何かおかしい』と異常を感じるそうです。微妙な音や振動の違いが分かるのでしょう。ただベテラン技術者はこの先どんどん減っていきます。お客様からはデータにもとづいた高精度の設備診断技術の早期確立を望む声があがっています」と武田。目標は故障の予兆を検知できるAIシステムを開発することだ。

明電舎のICTで
地域社会の
最適化に取り組む

「日本は、世界でも類を見ない超高齢社会に突入しており、2060年には日本の総人口は9千万人を割り込み、その4割が高齢者になるといわれています」。危機感を強めるのはICT統括本部企画部長の西澤廣純だ。社会インフラを支えてきた技術者が減少し、高度成長時代に整備されたインフラは日本各地で急速に老朽化している。「技術者不足に加え、国や自治体の予算も絞られてゆくなか、効率的にインフラを運用し、維持するのが大きな課題です。ICTを活用することで、この課題を解決していきたい」と西澤は意気込む。

明電舎は、19年度にもICTを活用した遠隔監視・診断サービスを実用化したい考えだ。自治体などの顧客には新サービスを導入すれば、どの程度のコストダウンや省力化につながるのかだけではなく、処理場に使う薬剤や使用電力量なども見える化し、最適のソリューションとして提供することを目標にしている。

西澤 廣純
(株)明電舎
ICT統括本部 企画部
西澤 廣純

まとめ

「お客様の実際の現場で培ってきた経験やノウハウをICT技術と結びつけて、社会インフラの効率化・最適化を図り、安定維持につなげられるのは我々のような重電メーカーしかいない。目指すのはICTの技術で地域社会を最適化していくこと。下水処理場などの単体の施設だけではなく、上下水道、電力施設、交通インフラなど、人々の暮らしにとって重要なインフラをそれぞれで最適化し、それをつなげることで地域社会全体の最適化を実現することです」と西澤は語る。高度成長時代に日本の隅々まで普及した社会インフラだが、国や自治体が財政難に陥り、ベテラン人材が少なくなるなか、インフラの維持・管理は今や深刻な問題だ。設備運営の予算を抑え、省力化するために、AIなどICT技術を用いた革新的システムの早期導入が期待されている。

明電舎のICTソリューション

明電舎のICTソリューション

用語解説

IoTを使った設備の予防保全
これまで設備の予防保全は、ある一定周期で点検、補修、部品交換、更新を行う「時間基準保全(Time Based Maintenance)」が主流だった。しかし、IoTを活用することで、設備の状態を常時把握し、劣化や故障を予知して部品交換や修理、更新を行う「状態基準保全(Condition Based Maintenance)」が可能になった。CBMを実現すれば、設備の故障率が下がり、保全費用が低減、運用の効率化につながる。
IoTを使った設備の予防保全 IoTを使った設備の予防保全
センサーで様々なデータを収集・分析している
※敬称略